直交表とは

直交表 (Orthogonal Array) は、統計的実験計画法における田口メソッドの基盤となる行列で、列間が直交 (orthogonal)している点が特徴です。具体的には強度 t = 2 の場合、どの 2 列を取り出しても各水準の組み合わせが均等に現れます(強度 t > 2 の直交表も存在します)。

歴史的背景

18 世紀から知られるラテン方格を、統計学者 R. A. Fisher が 1930 年代に農業試験へ体系的に導入しました。その後 1947 年に C. R. Rao が直交表の理論を提案し、R. C. Bose らが拡張して実用的なカタログを整備しました。Fractional Factorial 設計の形式化は Yates (1937) や Finney (1945) らの貢献が大きいとされています。日本では 1950 年代後半から 田口玄一 が直交表を品質工学へ応用し、1960 年代以降の製造業で急速に普及しました。

なぜ便利なのか

数理的定義

直交表は OA(N, k, l, t) とも表記され、強度 t を明示しない場合は LN(lk) を用います。ここで Nk 列、各列 l 水準を持ち、強度 t = 2 の場合は任意の 2 列を取り出すと l^2 通りの組み合わせが N / l^2 回ずつ現れます。